愛媛大学大学院(工学部)
理工学研究科物質生命工学専攻 教授
渡辺 裕(わたなべ ゆたか)

1950年 京都府船井郡丹波町生まれ
富山大学薬学部製薬化学科 卒業
東京大学大学院理学系研究科化学専攻 修了 理学博士
東京大学理学部化学科 助手
米国ウィスコンシン大学化学科 留学
愛媛大学工学部応用化学科 教授

愛媛大学大学院(工学部)
理工学研究科物質生命工学専攻 教授

私の生まれ故郷は京都府丹波町というのどかな田舎町でしたが、幼い頃から田舎に居るより都会に出るのを夢見ているような少年でしたね。ひとつのことにおさまらず、陸上部で本格的に短距離選手をしていたかと思えば、テニス、コーラス、作曲など何でも首を突っ込む好奇心の強い性格でした。あの頃の自分が今の仕事にもつながって、私の心の中にずっと棲み続けているような気がします。当時病院に勤務していた父親は元々薬剤師をしていたこともあり、家には薬剤関係や病院関係の専門書が沢山あり、目に触れる生活環境でした。ですから、私は医者になることも考えていたと思うのですが、なにせ血を見るのが苦手でしたから、医学部より薬学部のほうを自然に選んでしまったのでしょうね。
大学では薬学部、大学院では理学部、現在工学部在職とそれぞれ学部が違いますが、基本的には有機化学、有機合成化学をベースとしてつながりを持った研究を現在まで続けてまいりました。他に、天然物化学、コロイド、超分子化学などを対象にした研究にも取り組んできました。現在の愛媛大学に着任した1985年頃、生理学的研究としては、まだ進んでいなかったイノシトールに着目、強く興味を持って長く研究を進めるうちにリン酸化、光学分割など新しい化学合成手法を加えることで様々な機能を持った物質に創製することが可能になり、私の大きな研究の柱になりました。現在では、そういった化学合成によって生活の中のさまざまな分野に応用できる研究に発展してきました。今回のテーマであるコメは、非常に上質な純度の高いイノシトールを作り出せる貴重な穀物です。
第1回シンポジウムではIP−6が注目されましたが、10年が経った現在では、コメ成分の利用法は食品系、生化学系、薬学系へと大きく拡がっています。しかし、未知の部分も大変多く、今回のシンポジウムをきっかけに成分などの解明がもっと進み、コメの利用方法が飛躍的に発展させられれば、価値ある機会になると期待しています。
趣 味: | 仕事が趣味(見えない分子を見えるようにする面白さ)と思っていますが、テニスも現役でシニア大会などに出場しているし、音楽はクラシック、ジャズが好きでフルートなどもやっています。時間がもっと欲しいです。 |
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和歌山では: | 美味しい日本酒が飲みたいです。魚より肉が好きなので熊野牛とかいいですね。 |