(財)わかやま産業振興財団 都市エリア産学官連携促進事業発展型研究統括
谷口 久次(たにぐち ひさじ)

1947年 和歌山県橋本市高野口町生まれ
大阪府立大学工学部応用科学科 卒業
大阪府立大学大学院工学研究科 有機化学コース終了 工学博士
和歌山県工業試験場(現 工業技術センター)
文部科学省地域先導研究地域中核オーガナイザー
和歌山県工業技術センター化学技術部長
などを歴任

(財)わかやま産業振興財団において
文部科学省・都市エリア産学官連帯促進事業発展型 研究統括
大阪府立大学客員教授、和歌山大学客員教授など

私は和歌山県の北東部、かつて高野山や吉野に船で物資が運ばれた紀ノ川沿いの宿場町・高野口町というところに生まれました。家業は父親が染色工場を営んでいました。家に隣接した工場には、染料やカルキなど、劇薬となるような薬品が手に届くところにあり、幼い頃からそういったもので化学遊び(インク消しを作るなど)を面白がり、近所では冒険、探検ごっこをするような好奇心の強い子供だったようです。
大学に入り、理論有機化学の道を歩み始めるのですが、大学院卒業後、諸事情で学校を辞めて県の工業試験場に勤務することになりました。19年ほど前、和歌山県が主催する異業種交流事業の幹事を引き受けていた頃に、地元の食品会社との出会いがあり、米油の精製工程に出るオリザノールを含んだ副産物を何かに有効利用できないかという話をいただき、お引き受けすることになりました。精査分析していくうちに、それらから純度の高いフェルラ酸をローコストで大量に製造することに世界で初めて成功したのです。フェルラ酸は化学的合成品以外の食品添加物や紫外線吸収用の化粧品原料としても認可され、工業用プラスチックや食料原料の開発利用などにも応用されて、世界的に注目していただくことになりました。今回のシンポジウムのテーマであるコメが、フェルラ酸開発のきっかけになりましたが、このフェルラ酸の分子と分子をつなぐ基本的な骨格を利用すると地球上の様々な植物からIT産業等に利用できる合成物質を造り出すことができ、現在地中から掘り起こされ地球の大気汚染・地球温暖化の原因となっている石炭や石油利用が必要でなくなる時代が来るかも知れないと思っています。
私はある時期から、自分自身透析を必要とする身体になり健康の大切さを実感しました。コメから人間へ、疾病予防へのテーマの先には化学の力で地球の病気(大気の炭酸ガスの増加など)に取り組む展望も見えてきますね。今回のシンポジウムでは、「コメの疾病予防」をテーマに語りながら、人類の未来につながるような成果を期待しています。
趣 味: | 最近、絵をはじめました。碁や将棋(病院での入院中に習った)もします。 |
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和歌山では: | 地元ですから、高野山にみなさんをお連れしたいし柿の葉寿司も召し上がってほしいです。 |