組織委員会メンバー紹介

東京農業大学応用生物化学部 教授

高野 克己(たかの かつみ)

プロフィール

1953年 東京都板橋区生まれ
東京農業大学農学部 卒業
東京農業大学大学院農学研究科 農学博士

現在は

東京農業大学応用生物化学部 教授

東京農業大学応用生物化学部 教授 高野 克己(たかの かつみ)

全ての生き物は自分のために生きている。出来上がった食物ばかり見ていると命の大切さが見えてこない。

私は、戦後の日本が落ち着きを取り戻した頃東京に生まれました。都心でも巣鴨に近い工場街で、当時はまだ原っぱや公園があったので、普通の子供と同じようによく外で遊ぶ少年時代を過ごしました。父の出身が茨城県で比較的簡単に行ける距離にありました。また、母方の祖父がよく山菜取りやザリガニを獲る遊びを教えてくれました。元々地理、歴史が好きだったし、推理小説を読むのを趣味にしているような性格でしたから、農学部に進んだ理由もそういった人類の文化歴史の根源に農業(=食べ物を確保する)が見えて、興味を持ったような気がします。
専門は食品化学と食品製造学の分野ですが、前者は食品を分子の集合体と捉えて生命体としての食品からタンパク質や炭水化物など成分の働きや性質などを解明するといった分野であり、後者は学問的に食品づくりと食品野腐敗や品質低下とその防止法などを解明して、その技術を作り上げる分野です。特にコメなどの食品の品質を上げて美味しくするには酵素が関わっているというところに着目して始めた研究は、やがてコメの美味しい炊き方とか品種改良、食生活の改善といった分野まで広がり、かまぼこなど他の食品でも研究を続けることになりました。
コメ糠層や胚芽には他の穀類と比べて高い脂質分解酵素活性があり、各種のリパーゼ、ガラクトリパーゼ、ホスホリパーゼが確認されています。コメ(=ごはん)は、日本人の食生活にとって、重要な歴史を担ってきました。ですから、日本人は食事を総称して「ごはん」と呼んでいますよね。食育活動の中で「ごはんを食べ過ぎてはいけない」と学んだ人たちが、誤解してコメを食べ過ぎてはいけないと理解することがあります。コメは食べられるだけでなく、日本人の暮らしの中で、藁ぞうりや、蓑といった生活に欠かせないものとして無駄なく使われてきました。コメは生き物であって、食物連鎖野の重要性を教えてくれます。出来上がった食品ばかりを見ていると、そういうことが見えなくなるような気がします。今度のシンポジウムでは、一般の方々にもコメを通じて命の大切さを伝えればと願っています。

趣 味: 歴史を学び現在を考えること。推理小説を読むこと。
和歌山では: 果物がおいしいそうですね。市内を知らないので城下町探索をしたいです。
 

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