組織委員会メンバー紹介

九州大学 熊本県立大学 名誉教授

菅野 道廣(すがの みちひろ)

プロフィール

1933年 福岡県久留米市生まれ
九州大学農学部農芸化学科 卒業 農学博士
ハーバード大学留学(公衆保健学部栄養学科博士研究員)
九州大学農学部栄養化学講座および食糧化学講座 教授
熊本県立大学生活科学部・環境共生学部 教授・学部長
熊本県立大学学長
などを歴任

現在は

九州大学名誉教授
熊本県立大学名誉教授

九州大学名誉教授 熊本県立大学名誉教授 菅野 道廣(すがの みちひろ)

オリジナリティのない研究は役に立たない。新しいアイデアを得るために知識の蓄積が欠かせない。

 私は福岡県の久留米市で生まれ育ちましたが、小学校時代に日本は戦争に突入し、周囲を取り巻く状況は厳しい時代でした。その頃、洋服会社に勤めていた父親は糖尿病でインシュリンが必要でしたが、当時は入手も困難で栄養不足も重なり戦後まもなく亡くなってしまいました。しかも終戦5日前に自宅が全焼するという不幸もあり、子供ながらに食べていくのが精一杯で、自分の進路を考える余裕がなかったような気がします。そんな食糧難を経験したからでしょうか、栄養学に興味を持ち始めた頃、大学の進路を話し合っていた同級生から「農芸化学に進めば酒が飲めるぞ」などと言われ、冗談のような理由で農芸化学科の栄養化学の道に進んでしまいました。
  大学院博士課程を修了後ハーバード大学に留学して、コレステロールエステル化の栄養学的制御に取り組んだのですが、留学先のアメリカで経験した脂質過多の生活に、将来日本も同じ道をたどるとの危機感を抱き、帰国後はコレステロール抑制、脂質代謝調節を主要テーマに据えることとなりました。つまり、コレステロールの吸収を抑制する成分を食品から見つける、今でいう食品機能学的研究に入りました。コメの脂質成分(コメ油)には酸化に強いうえに生理機能も期待できるトコトリエノールやコレステロールの吸収を抑える独特なステロール成分が含まれ、とても重要な研究材料です。現在の栄養学は分子栄養学が主流になっていますが、動物への実験データと人への実験データのギャップを埋めていくことで、さらに現実味を帯びた食品機能の解析結果が生み出されるはずです。油をどれだけ摂取するかという食事摂取基準の確立は、何千人単位のデータの蓄積が必要で国家プロジェクトにするくらいの重要な意義を持っているわけで、今回のようなシンポジウムが行政・社会に伝えようとする影響力、発信力は大変大きいと思っています。優れた研究結果は、様々な視点からのオリジナリティのあるアイデアから生まれます。皆様にお会いできるのを楽しみにしています。

趣 味: 山岳、ジョギングと持久力の要るスポーツ。日本古代史及び、歴史の舞台を訪れる旅。バイオリンコンチェルトを聴いたりすること。
和歌山では: 美味しい酒があれば、その土地で地元の肴で飲んでみたい。
 

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