名古屋大学大学院生命農学研究科食品機能化学研究室教授
大澤 俊彦(おおさわ としひこ)

1946年 兵庫県姫路市生まれ
東京大学農学部 卒業 農学博士
オーストラリア国立大学理学部化学科リサーチフェロー
日本学術振興会奨励研究員
カリフォルニア大学客員 教授
などを歴任

名古屋大学大学院生命農学研究科 教授
日本ゴマ科学会会長
Antioxidant-unit研究会 理事長
日本予防医学会 常任理事など多数

私は姫路で生まれたのですが、父親が農業試験場で働いていた関係で、小さいころからコメや作物が植えられている農場で遊んで育ちました。姫路市〜広島県西条市〜香川県善通寺市と父親の職場が転々とする中で家族と共に移っていきました。そんな環境でしたから農学部に進むというのは自然な進路だったのでしょうね。特に瀬戸内海で育った私は海が好きで、よく素もぐりなどをする少年でした。そんな海好きの性格から大学を卒業するとオーストラリアのキャンベラに留学することになったのです。そこで、学生時代に行っていた菊の研究からユーカリの研究(挿し木による根のはり具合)に対象を移し、ユーカリの中に強い抗酸性物質を見出すことになりました。それが出発点で有機化学が専門であった私が専門分野である酸化ストレス発現機構の解明と抗酸化食品因子による防御機構の解析という研究に取り組むようになりました。胡麻やタマネギに代表されるような食品に含まれる栄養成分以外の働きはこれまでにも経験的には知られていましたが、マイクロアレイ解析など、先端的な技術の開発で成分や体内のメカニズムがさらに解明されるようになりました。日本のコメは、東南アジアなどの野生種と比べるとポリフェノールやアントシアニンの含量が少ないのですが、日本人のコメを主食とした食習慣の中では非常に効果があるはずです。今、特にバイオマーカーによる生体指標(尿、血液、だ液による)をもとに病気の原因を探し出す技術が進歩してきています。バイオマーカーを利用して新しい機能性食品の開発がベンチャーとして、盛んになろうとしています。今回のシンポジウムでもそういったベンチャーへの展開が話題になったりするかも知れませんね。これからの私の関心事は、脳への影響(アルツハイマーやパーキンソンなど)を示唆する長寿医療研究でしょうか。食生活を変えることで、人の寿命もどんどん変化する時代が来ると思っています。今回のシンポジウムでも、内外の研究者の方々と、応用分野などで情報交換を活発にできる機会を持ちたいと願っています。
趣 味: | クラシック・ジャズ音楽(高校時代はトランペットなど) |
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和歌山では: | 和歌山と言えば、舟床みかん(苦味のあるみかん)を利用した高機能性食品因子開発研究などの仕事に関わってます。食べたいのは高野山の本場の胡麻豆腐、和歌山名物のクエでしょうか。海が好きなので綺麗な海が見えるところにも行きたいですね。 |