慶應義塾大学名誉教授
私立大学環境保全協議会 顧問
小川 誠一郎(おがわ せいいちろう)

1937年 東京都新宿区(四谷区)生まれ
慶應義塾大学工学部応用化学科 卒業
帝国人造絹糸(テイジン)入社
慶應義塾大学大学院工学研究科 工学博士
イリノイ大学に留学
ダルムシュタット工科大学に留学
慶應義塾大学理工学部 教授

慶應義塾大学名誉教授
私立大学環境保全協議会 顧問

私は関東大震災から10余年たち復興なった新宿追分、伊勢丹向かいの糸綿店の長男に生まれました。小学1年生になる頃、戦況は厳しくなり、米空軍の東京空襲を避けて学童疎開が始まりました。母の実家のある足立区(当時は農村地帯)に縁故疎開し、終戦までそこで過ごしました。両親は長男の私に店の跡を継いでもらいたかったようですが、大学に入るころの私は、建築家やグラフィックデザイナーの仕事がしてみたいなどと親の意にそぐわぬ希望をいだいていました。しかし、悩みぬいた末の結論は思いもよらぬ工学部応用化学科で、有機合成研究へ進む道でした。
大学時代の恩師との出会いがきっかけをつくった、アミノ配糖体の合成、抗生物質カナマイシン関連テーマの研究などから始まり、私は一貫して糖質に関する合成化学分野の研究を行い、とくにコメに含まれるイノシトールなどの環状糖アルコール類および擬似糖質に関する合成研究では、つねに新しい機能性物質、酵素阻害剤などの創製に取り組んできました。
私個人としてはイノシトール、フェルラ酸などについては純度の高いものを製造してそのまま使える用途の開発が望ましいと思いますが、機能性を高める加工・処理などが現在どのように進められ理想的な状況に近づきつつあるのかを、今度のシンポジウムでは見ておきたいですね。とくにフェルラ酸については、その重要性が国際的にどのように評価されているのか注目したいところです。
成果の出せる共同研究とは、研究の上に研究者間の密接な交友関係を樹立することで支えられるべきものです。
このシンポジウムが、これまでの諸先輩方が築き上げた研究の成果・財産を人から人へとつないで、若い研究者の方々を育て上げる交流の場になっていただければと願っています。
趣 味: | 楽器演奏(リコーダー)、ソフトボール(シニアチームに所属)、水彩画、写真など、現役でがんばっています。コーラス(合唱団名誉会長)にも関心があります。最近、篆刻を始めました。 |
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和歌山では: | 美味しかった魚(クエ)が忘れられません。高野山もいいですね。 |