東北大学大学院農学研究科機能分子解析学 教授
宮澤 陽夫(みやざわ てるお)

1950年 北海道小樽市生まれ
東北大学大学院農学研究科食糧化学専攻博士課程修了 農学博士
米国タフツ大学JeanMayer老化栄養研究所 留学
日本栄養・食糧学会 副会長、日本農芸化学会 理事
生体パーオキサイド研究会 会長
日本メイラード学会 会長
日本補完代替医療学会 理事
Federation of Asian Nutrition Societies (FANS) 理事
などを歴任

東北大学大学院農学研究科機能分子解析学 教授

私が生まれ育ったのは、北海道小樽市若竹町という港に近いところでした。自宅近くの築港には、ロシアから運ばれた木材が沢山浮かんでいて、私は小さいころからよく海に潜り、材木の下に生息する帆立貝を獲ったりして遊びました。比較的穏やかで、のんびりとした町で育った私ですが、高校まで硬式テニスに打ち込み全国大会にも出るほど夢中になる少年でした。父は、三菱鉱業の研究所で石炭を分析して品質評価をする仕事をしていましたから、身近で手の届くところに水銀などの薬品があり、触って父に怒られたことも思い出です。両親が自宅の近くに山を持っていたので、そこに植えられたトマトやイチゴを学校の行き帰りに収穫するのも楽しみで、そんな体験が食べ物への興味に結びつき農学部に進むきっかけになった原点かも知れません。
私の研究では生体脂質の過酸化と組織極微弱発光に関する若い頃の研究が今も基盤になっています。生体組織のヒドロペルオキシド型過酸化脂質の超高感度測定法と装置の開発に成功したことが大きかったですね。これによって、ヒト体内の酸化ストレスの程度を正確に測定できるようになりました。その後、米国タフツ大学JeanMayer老化栄養研究所の研究員として、生物個体と細胞レベルの加齢や老化を緩和予防できる食品成分の重要性に関する研究を続け、その後はヒト脳における脂質膜機能の研究などで特異的な新規酸素化脂質の発見にも結びつけることができました。
今回のシンポジウムのテーマであるコメと関わった研究では、米糠トコトリエノール(スーパービタミンE)による抗血管新生など新機能の発見によって、コメ成分による抗がん作用、糖尿病合併症への応用など研究の領域を延ばし、産学官連携の研究体制が深められたことが重要でした。
米とコメ成分の研究については、今回のような様々な領域の研究者が集う機会を利用して、広く一般の消費者の方々にも食の安全や一生涯摂取することの重要性、病気の予防との関わりをわかりやすく理解してもらえるよう発信していく必要があると考えています。
趣 味: | テニス(45歳で復活、県選手権のシニアで優勝) |
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和歌山では: | ほとんど和歌山を知らないので、とくに美味しい特産についてみなさんから教えていただきたいと思います。食品を学ぶからには一食一食を大切にというのが大学の恩師からの教えでした。 |